政治学者 高橋 肇のブログサイト。 政治学を中心とした学術的なテーマを掲載。 その他のテーマは、たかはしはじめ日記へ。

 

Hajime TAKAHASHI's Politics

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2007
10/10
Wed
Category:政治学B(中京/2007秋)

政治学B(第3回/2007秋) 

第3回(10/9) 立憲制度をめぐる諸議論
長谷部氏の立憲主義論を中心に考察することで、社会契約論的立憲制度論、民主主義的立憲制度論、自由主義的立憲制度論について整理する。

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立憲主義をめぐる諸議論

長谷部氏の「立憲主義」理解について

1)価値観は多元的かつ「比較不能」 

「価値観の多元化した世界」「価値観は相互に比較不能」

これは「与えられた事実」である。

2)ゆえに、価値観の相違にもかかわらず相互の「存在を認め合い、社会生活の便宜とコストを公平に分かち合う、そうした枠組み」として、「立憲主義」が生まれた。

3)そのために「立憲主義」は、人々の生活領域を「私的な領域と公的な領域とに区分する」。「公と私の二つに区分しようとする」。

「私的な生活領域では、各自がそれぞれの価値観に沿って生きる自由を保障」

「公的な領域では、価値観の違いにかかわらず、社会のすべてのメンバーに共通する利益を発見し、それを実現する方途を冷静に話し合い、決定することが必要」

4)よって、「価値の多元化した世界で、人々の立場の違いにかかわらず、公平な社会生活の枠組みを構築しようとするならば、立憲主義の考え方に頼らざるを得ない。」(以上、『何か』p.10-11)

この理解の前提には、共通する根底的価値としての「自己保存」(「財産の保全」を含む)がある。(『平和』p.50)

社会契約論者における「自然権」の主張=「異なる価値観の共存しうる社会の枠組みを構築しよう」と意図=これが、「立憲主義のはじまり」

「自然権論」成立の経緯=「多様な価値の比較不能性」という認識(『平和』p.54-56)

「フィクションとしての自然権」、「フィクションとしての社会契約」(『平和』p.89-90)→フィクションとしての立憲主義



近代国家の構成要素としての「主権」と「国民」(『平和』p.90)

史実に基づく立憲主義とは、「対外的主権の構築(国家形成)」と「対内的主権の構築(国民形成)」ではないのか。アメリカにおいては対外的主権の確立がまず課題となり、フランス絶対王政下では対外的主権はひとまず確立されており、それゆえ対内的主権の構築(国民形成)が課題となった。また、独立後の合衆国は、対外的主権の安定的存続と対内的主権の構築(国民形成)の必要から合衆国憲法の制定を必要とした。~国民国家システムと立憲的国民国家

アメリカ独立は、「立憲的国民国家の時代」の始まり

イギリスにおける王政の立憲主義的変容(絶対王政ではなくて制限王政)。イギリス絶対主義の立憲主義的国民国家への脱皮。(マグナカルタも権利の請願も、イギリス国民国家が立憲主義的に変容したがゆえに歴史的文書たりえたとはいえないか。)~イギリスはいつから立憲主義国家になったか?



長谷部の立論は、リベラルデモクラシーの立憲主義

・「天皇主権と資本主義的経済秩序」=「国体」=「戦前の憲法の基本秩序」

(『何か』p.23)

・リベラルデモクラシーの憲法における立憲主義

+平和主義としての日本国憲法



リベラルデモクラシーは、「立憲主義を基底とする民主主義体制」

広義の立憲主義=「政治権力あるいは国家権力を制限する思想あるいは仕組み」⊃「「人の支配」ではなく「法の支配」」

狭義の立憲主義=「近代国家の権力を制約する思想あるいは仕組み」=「近代立憲主義」~「私的・社会的領域と公的・政治的領域との区分を前提として、個人の自由と公共的な政治の審議と決定を両立させようとする考え方と密接に結びつく」(「二つの領域の区分は古代や中世のヨーロッパでは知られていなかった」)=比較不能な「価値観の多元性」が前提

(『何か』p.68-)

長谷部は、狭義の立憲主義を理念的に正当化するにあたって、その正当化根拠を、近代国家の自然状態として「比較不能な価値の多元性」状況を措いた。

だが、むしろ、対内的には、主権の構築としての立憲主義、国家形成としての立憲主義、国民形成としての立憲主義という視点が必要ではないか?

対外的には、主権の確立=対外独立(分離)と対等化の要求として立憲主義が要請されたのではないのか。

たとえば、明治憲法の評価。長谷部はそれを「立憲主義なき憲法」と言うのだが、そうした立論は立憲主義のそもそもの成立過程を軽視する、立憲主義の歴史的実態からはかけ離れた、「理念としての立憲主義」についての議論にすぎない。

われわれが必要としているのは、史実に即した立憲主義の定義。



「立憲主義なき憲法」~「憲法典への服従と立憲主義とを同一視するわけにはいかない」(『平和』p.12)

では、「立憲主義」とは?(ヘンキン教授)

1)人民主権と代表民主制

2)権力の分立および抑制・均衡、個人の人権の尊重を通じた国家権力の制限

長谷部によれば、1)は民主主義の要素、2)が立憲主義。両者は衝突しうる。

「民主主義に基づいて行使される国家権力でさえ制限される」=「立憲主義の強みと謎」(『平和』p.13)

「憲法典による権力の制限が民主主義と衝突しうる」「なぜそれが正当化されるのかを改めて問うべき」「民主主義の力とその限界」

長谷部:立憲主義による民主主義の制限は正当化されるべき。

半民主主義的立憲主義者としての長谷部


次回の予定

第4回(10/16) 立憲制度はなぜ必要とされたか
立憲制度成立の世界史的背景について概説する。産業資本主義の発展と市場化という文脈を軸に整理する。立憲主義成立の経済的要因。


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※上記のテキストの第1章~第3章1までを読んでおくこと。

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※上記のテキストの序章および第二部(第3章~第6章)を読んでおくこと。

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