政治学者 高橋 肇のブログサイト。 政治学を中心とした学術的なテーマを掲載。 その他のテーマは、たかはしはじめ日記へ。

 

Hajime TAKAHASHI's Politics

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2008
05/09
Fri
Category:政治学A(中京豊田/2008春・水2)

「政治学A」(中京豊田/2008春/水2)第4回 

「格差社会から成熟社会へ」2008 年度春学期
中京大学「政治学」講義 第4回

橘木俊詔『 格差社会』 を読む
本書の構成
・格差の現状(第1章)
・格差の要因(第2章)
・新しい貧困層の出現(第3章)
・格差社会のゆくえ(第4章)
・格差社会の是正策(第5章)

(前回までのおさらい)
格差拡大の要因(第2 章)
• 長期不況の影響(1991 年以降)
• 失業率の上昇
• 雇用システムの変化
– 非正規労働者の増大(期限付、派遣、請負・・・)
非正規労働者が増えた要因
1)不景気の影響
2)社会保険の事業主負担を免れるため
3)解雇しやすい
4)雇用調整
• 非正規希望の若年層や既婚女性、高齢者
• 労働市場の規制緩和と企業参入の自由化
• 消費者利益とワーキングプア
非正規労働者が減らない理由
• サービス残業(時間外労働に対する賃金未払い)という実態
– 禁止すれば、賃金支払いか、新たな雇用創出へ

• 景気回復が正規労働者増につながらない
– 非正規労働者を雇用するメリットを学習
– フリーターを正規労働者に採用しない傾向(教育・訓練のコストというデメリット)

構造改革と格差
• 構造改革は経済の活性化を促進するが、格差拡大を助長する。

• 80 年代構造改革路線
• 市場原理の活用と減税政策と福祉見直し

• 所得分配の不平等化
• 財政赤字と歳出カット
日本の構造改革
• 不良債権の処理に成功
• 地方の無駄な公共事業の削減

• ただし、格差は拡大
– 支出削減の中身が問題(社会保障給付費の減と貧困層の増大)
– 地域間格差の増大(公共事業に代わる地域支援策を)
– 日本のセイフティネットの脆弱性
新しい貧困層の出現(第3 章)
• 誰が貧困者となっているのか?( 年齢別)

– 高齢者の貧困率がもっとも高い
– 次いで、若者の貧困率が高い

– 中年層の貧困率は最も低いが、70 年代・80 年代に比べると高くなっている

新しい貧困者層の出現
• 誰が貧困者となっているのか?( 世帯類型別)

– 母子世帯の貧困率がもっとも高い
– 次いで、高齢単身者の貧困率が高い

– 29 歳以下の若者の貧困率も増えている

低所得労働者は何を意味するか?
• 日本の最低賃金の低さ

• 非正規労働者(若者と女性)の存在

• 女性の平均賃金の低さ
• パートタイム賃金の低さ
• 年功序列型賃金の影響

※離婚率、未婚率の上昇による単身女性、母子世帯の増加⇒女性の貧困の深刻化

富裕層の変容
1 億円以上の高額所得者
– 企業経営者
– 医者
• 他に、芸能人、プロスポーツ選手、弁護士等
• 経営者
– 従事する産業の変化
– サラリーマン経営者⇒創業経営者の増加
– 企業規模の変化(小企業・高額収入)

(以上、前回までのおさらい)



格差社会のゆくえ( 第4 章)

格差はよいのか?悪いのか?
• 「格差の何が悪い」という議論
一国の首相が格差拡大を容認する発言をした

「不況を脱するためには格差が出ても仕方がない」
「国際的な競争力のためには格差はやむをえない」

「不平等が拡大しても、経済効率が重要」

効率性と公平性のトレードオフ
• 「効率性と公平性は両立しない」

• 「効率性のためには公平性が犠牲になっても仕方がない」

• 「公平性を犠牲にしなければ効率性は高まらない」

効率性と公平性はトレードオフか?
• 「収穫逓減の法則」
– 「ある要素( 報酬) を高めてもその期待できる効果( やる気) は逓減する。」

• 高い報酬⇒高い消費⇒高いエネルギー消費


⇒「効率性と公平性は両立可能」( 橘木)


貧困者増大の社会問題
1)低賃金労働者の増大⇒労働意欲の喪失

2)失業者の増大=人的資源のロス

3)犯罪の増加、社会の不安定化の危惧

4)公的援助負担の増、社会の負担の増加

5)社会の倫理の崩壊、不安定化


アメリカ社会の現状に見る日本の将来
• 「ゲーテッドタウン」の存在
– 「ゲットー」の対極に富裕者のコミュニティ
• 「六本木ヒルズ」

• 社会の二極化の進行
– 災害格差
– 健康格差

ニート、フリーターのゆくえ
• ニートの増大(「若年層無業者」)
– 10 年で20 万人増
• (1993 年40 万人⇒2002 年60 万人)
– 30 歳前後の壮年ニートの増加

• フリーターの増大
– この20 年で4 倍以上に
• (1982 年50 万人⇒2000 年代200 万人~400 万人)


「夢追い型」⇒「やむをえず型」
• 正社員を希望してもなれない
– 企業はフリーターを正規社員として雇用しない

• 生涯賃金の格差の増大

• 貧困層のライフスタイルへ
• 親にパラサイト⇒社会にパラサイト


階層固定化
• 格差拡大から階層固定化へ
– 格差拡大⇒不平等の進行⇒階層固定化
 ⇒競争の不活性化

– 例) 政治家とプロ野球選手

階層固定化⇔人材の最適配分

階層社会をイギリスに見る


格差をどこまで認めるか?
• 「格差の存在しない社会はない」
• だが、「格差をどこまで認めるのか?」

1)上層と下層の差をどこまで縮めるのか?
– 貧困層の存在を容認
2)貧困者をなくすにはどうするか?
– 貧困者ゼロをめざす
どこまで格差を認めるか?
• 「有能な人、努力した人が報われる社会」
– 「敗者」をどう扱うか?

• 機会の平等(競争への全員参加)の保障
– 競争に始めから参加できない層の存在

⇒「どこまで格差を認めるか?」
格差と企業の生産性
• 社長と社員の所得格差
– 100 倍の企業と10 倍の企業



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政治学A(レポートその1/2008春)
■テーマ 
テキスト「格差社会」を読んで~思ったこと、考えたこと

■提出日 5/21の授業時
(遅れて提出の場合には、5/28の授業時まで受け付ける。その際の評点は80%とする。それ以降の提出は受け付けない。)

■注意 引用にあたっては、引用部分をかぎかっこで囲むと同時に、引用文献(著者名、著書名、出版社、出版年、ページ)を必ず明示すること。


レポートの採点基準と提出様式についてはここをクリック



• レポートの提出は、レポートの提出様式に必ず従ってください。

なお、レポートの採点基準は以下のとおりとします。(2007年秋学期から適用)
10点満点とする。加点分から減点分を差し引いて得点とする。なお、最低点は0点とする。

☆加点対象
1)レポートのテーマに沿った的確な内容であるか 5点
2)レポートの構成と論旨が明確で説得力があるか 5点

★減点対象
1)A4用紙1枚という様式が守られていない場合。マイナス2点。
2)学科・学年、学籍番号、氏名がきちんと書かれていない場合。それぞれマイナス1点。
3)「引用」に引用符(鍵括弧「 」)が付いていない場合、ひとつの引用につき、マイナス2点。
4)「引用」の出典(出所)が明示されていない場合、ひとつの引用につき、マイナス1点。
5)「引用」だけで構成されているもの。引用が10割の場合、マイナス6点。引用が8割以上の場合、マイナス4点。引用が6割以上の場合、マイナス2点。
6)明らかに同一文章のレポートが発見された場合(他の者のレポートをほぼ丸写しした場合、もしくは他の者に丸写しさせた場合)。同一部分の分量と程度に応じて、マイナス8点からマイナス4点。
7)インターネットのサイト等からの「引用」についても、上記と同様の扱いとする。特定のサイトからの文章をコピーペーストすることは構わない。ただし、きちんと「引用」として扱うこと。「引用」を明示せず、かつ、単なる丸写しの場合には、「引用」にかかわる減点と「丸写し」にかかわる減点の二重の減点対象となる。

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