政治学者 高橋 肇のブログサイト。 政治学を中心とした学術的なテーマを掲載。 その他のテーマは、たかはしはじめ日記へ。

 

Hajime TAKAHASHI's Politics

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2008
10/14
Tue
Category:政治学B(中京八事/2008秋・火3)

「政治学B」(中京八事/2008秋/火3)第3回 

政治学B
格差社会から成熟社会へ

2008年度秋学期
第3回(10/14)
山田昌弘『 希望格差社会』 を読む。

• 不安定化する社会の中で
• リスク化する日本社会(以上、前回)
• 二極化する日本社会(以下、今回)
• 戦後安定社会の構造
• 職業の不安定化(以下、次回)
• 家族の不安定化
• 教育の不安定化
• 希望の喪失
• いま何ができるのか、すべきなのか

希望格差社会( 前回の復習)

• 「リスク」と「二極化」

「リスク化」( 将来の生活の予測可能性の低下と、不確実性の増大、終身雇用の崩壊、就職難、倒産、解雇、家族関係の不安定化 、未婚化、離婚の増加、年金財政破綻の懸念 、etc) (p.22-23)

「二極化」( 格差の拡大、 1990 年代半ばからの中流社会の崩壊、 「勝ち組」「負け組」への二極化、 正社員とフリーター、 寄生者と自立者、 「立場の格差」「質的格差」、 諸問題の二極化)(p.23-24)

希望格差社会( 前回の復習)
リスク化、二極化の進展→心理的不安定化

「希望の喪失によるやる気の喪失」

「経済的格差(量的格差)」は、「質的格差(立場の格差)」を生み、「心理的格差(希望格差)」につながる。
(p.25-26)

「現代日本社会では、生活に対する『保証』が急速に失われつつある」、「戦後日本が築いてきた安心社会の終焉」 (p.36)

二極化の進展
「量的格差」と「質的格差」
前近代社会における「格差」
• 「生まれた親の職業によって決まった。」
• 「家産によって生活水準が決定した。」
(個人の努力で生活水準が上下する余地は小)

• 「身分秩序としての社会秩序」(結婚も)
• 「伝統や宗教という納得の装置」
• 「格差の固定化」(p.68-69)

近代社会における「格差」
• 「親の職業を継がなくてよい社会、結婚も自由にできる社会」
• 「自由主義、資本主義社会は、企業社会」

( 「実力( 才能と努力) による、生活水準の上昇」の余地)
• 「機会が均等であれば、格差は実力の反映」< =「納得のイデオロギー」(p.69-70)

近代社会システムの問題点
• 親の格差による間接効果
「生まれによる影響は0にはならない。」

• 性役割分業社会
「女性の生活水準は、男性によって決まる」

• 弱者の出現
「実力による格差」
(p.71-72)

経済の高度成長期~格差縮小
• サラリーマン社会への移行
• 親による間接効果の縮減
• 将来の生活水準の上昇見込み
• 失業リスクの小ささ/再チャレンジの可能性

⇒「弱者の出現が最小限に抑えられていた」
(p.73-74)

現代社会の格差
• 二極化の進展
• 「格差社会」論の先鞭
– 橘木俊詔『 日本の経済格差』
日本の経済格差―所得と資産から考える (岩波新書)日本の経済格差―所得と資産から考える (岩波新書)
(1998/11)
橘木 俊詔

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格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

– 佐藤俊樹『 不平等社会日本』
不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)不平等社会日本―さよなら総中流 (中公新書)
(2000/06)
佐藤 俊樹

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⇔ 「質的な格差に触れていない点に不満」( 山田)

現代日本社会における二極化
1)職業に質的な格差が出現し拡大
2)各人の能力によらない生活水準格差
(p.74-76)

職業能力の質的格差
• 高度成長期の大量生産・大量消費からニューエコノミーへ
– 「専門的能力を必要とする職種」と「マニュアルどおりに働く職種」に、二極分化
– 他方、男女の労働者の質的格差の縮小
• 均等法などの影響も
• 専門的能力を必要とする職種につく女性と一生単純労働に従事する男性、高収入同士のカップルと低収入同士のカップル、etc…( 家族の多様化)
(p.76-77)

家族形態と生活水準の格差
• 「世帯の生活水準の豊かさは、もう夫の収入だけでは決まらない」時代に
– 妻が、専業主婦か、パートか、フルタイムか、で生活水準が違ってくる時代
– 親子の経済関係も変化( 「親を越える息子」から「豊かな親」の時代へ)
• 親の資産を相続できる子とできない子の格差
• 親から経済援助を受けられる子と受けられない子
– パラサイトシングルetc…
• 親の階層がこの職業的成功に与える間接効果の拡大( 勉学意欲の格差)
(p.78-80)

二極化の加速
• 職業領域の質的格差と家族形態による格差の拡大は相乗的に、二極化を加速する
– 高収入の夫と高収入の妻のカップリング
– 低収入同士のカップリング

– 豊かな親⇒子供への投資や援助
– 豊かでない親⇒単純労働者になる子

– 強者が強者を生み、弱者が弱者を生む( 自由)  
(p.80-82)

二極化の社会心理的影響
• 現在の二極化は、能力のある人のやる気を引き出すかもしれないが、能力がない(と自覚する)人のやる気を失わせる。
– 「インセンティブ・ディバイド」 の格差
• 努力によらない格差(=家族の利用可能性による格差)
– 努力以外で決まる格差には、納得できず不満が募る
• ⇒希望格差の拡大へ  (p.82-83)

リスク化と二極化の相互連関
– 安心社会からリスク社会へ( リスクの普遍化)
• リスクへの対応能力( 資源) の格差
• ⇒リスクの普遍化は二極化を加速する

– リスクの個人化も二極化を加速する

• 「弱者」には、連帯も、集合的な反抗も閉ざされている

戦後安定社会の構造
• 高度成長期を懐かしむ言説の増加
– 「明るい時代」だった
• 低い離婚率
• 低い非嫡出子率
• 合計特殊出生率も安定

• 安心社会形成の理由はなにか?
• 安心社会形成の条件はなにか?
(p.88-90)

高度成長期(p.90-91)
– 選択の自由は拡大したが、生活リスクは小さく、将来が予測可能だった
– 心理的な生活格差も小さく、「追いつく」意識があった

「自由の拡大と確実性」「経済成長と格差縮小」
– 企業の男性雇用の安定と収入増加(企業社会の安定)
– サラリーマン= 主婦型家族の安定と生活水準向上
– 学校教育による職業振り分けの成功と学歴上昇

1.企業社会の発展
• 大量生産・大量消費の時代
– 大企業の勃興とサラリーマンの増加
• 雇用安定と収入増大
– 男性の雇用の安定(全雇用)
• 年功序列、終身雇用、企業内労組、社内福祉
• 企業内訓練
– 従業員主義、終身雇用、年功序列、「会社人間」
(p.92-93)
• 男性従業員はほぼ誰もが昇進できた
• 昇進スピードや到達点の格差はあっても、質的格差ではなかった
• 周縁労働は女性や出稼ぎ、アルバイトが担った(海外では外国人や移民労働者)
• 企業でまじめに働きさえすれば、仕事能力が身につき、安定し、収入が増大するというメカニズム
– 大量生産・大量消費という産業構造
– 政府規制、官僚指導、系列、下請け、業界団体
(p.93-98)

2.サラリーマン=主婦型家族の安定
• 高度成長期企業における男性労働
• 専業主婦の誕生と増大
– 「夫は仕事、妻は家事・育児」という家族モデルへ

• 安定の理由
– 男性雇用の安定と収入の増大の見込み
– 家族関係の安定(「生活共同体」としての家族の安定)
(p.98-)
• 家族的リスクの極小化
– いわば、男女ともに「永久就職」が可能だった時代
• 婚姻率の高さ(実に95% !)
• 結婚しない方がリスクが高い
• 婚姻前の生活水準の低さ
• 交際範囲の狭さ
• 「見合い」という手段
• 離婚率の低さ
• 再婚への希望
(p.99-100)
• 社会保障制度の整備
– 生命保険の伸び(夫が死んだ場合の保険)
– 健康保険、年金制度の整備(特定の家族モデルを前提)
– 遺族厚生年金
– 税制と給与制度(特定の家族モデルを前提)
• 配偶者控除や扶養手当
• 家族給与(生活給与)としての性格
(p.100-101)
• 家族モデルから外れた人に対する社会福祉
– 保育所、母子家庭支援

• 賃金格差の縮小、賃金上昇の期待

• 生活の豊かさの進展

• 夫婦合算した収入の格差<男性の給与格差
(p.101-102)

3.学校教育制度の成功
• 家族と職業をつなぐ制度としての学校

• 職業選択の自由と学校制度による選別
– 医者( 医学部) 、弁護士( 法学部) 、などなど

• 受験競争の効用
– 受験競争は、青少年をリスクなく職業に振り分けるための優れた制度
• パイプラインシステム (p.103-104)
• 安心と希望と合理的あきらめのシステム

– 職に就けないリスクの最小化( 安心化)
– 努力が報われる=徐々にあきらめさせる

– 女性にとっては結婚市場における相場の形成

• 学歴の世代間上昇( 学歴の高度成長期)
(p.104-110)

高度成長期社会とは?
• 職業・家族・教育の安定システムである

– 企業の男性雇用の安定と収入増加(企業社会の安定)
– サラリーマン= 主婦型家族の安定と生活水準向上
– 学校教育による職業振り分けの成功と学歴上昇

– 中間集団の安定、成長による格差の緩和
(p.110-114)

• 中間集団の安定
– 家族と企業が個人を守っていた

• 成長による格差の緩和
– 格差は「量的」なものであり、いずれ「追いつく」という希望がもてた

• 高度成長期の終焉
– みんな一緒に豊かな生活を築くことができた時代の終焉

 ⇒中間集団を安定化させるコストの増大
 ⇒リスクの普遍化と個人化
(p.110-115)

山田昌弘『 希望格差社会』 を読む。

• 不安定化する社会の中で
• リスク化する日本社会(以上、前回)
• 二極化する日本社会
• 戦後安定社会の構造(以上、今回)
• 職業の不安定化(以下、次回)
• 家族の不安定化
• 教育の不安定化
• 希望の喪失
• いま何ができるのか、すべきなのか

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レポート課題(その1)
• 山田昌弘『 希望格差社会』 を読んで

• 提出日 11 月4 日( 火)  3限 授業時
– (遅れて提出の場合には、 11/ 11の 授業時まで受け付ける。その際の評点は80%とする。それ以降の提出は受け付けない。)

レポートの提出様式に 従うこと。
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