政治学者 高橋 肇のブログサイト。 政治学を中心とした学術的なテーマを掲載。 その他のテーマは、たかはしはじめ日記へ。

 

Hajime TAKAHASHI's Politics

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Posted on 15:28:58 «Edit»
2008
10/28
Tue
Category:政治学B(中京八事/2008秋・火3)

「政治学B」(中京八事/2008秋/火3)第5回 

政治学B
格差社会から成熟社会へ

2008年度秋学期
第5回(10/21)

山田昌弘『 希望格差社会』 を読む。

• 不安定化する社会の中で
• リスク化する日本社会
• 二極化する日本社会
• 戦後安定社会の構造
• 職業の不安定化
• 家族の不安定化
• 教育の不安定化(以上、前回)
• 希望の喪失(以下、今回)
• いま何ができるのか、すべきなのか


希望の喪失
• 生活の各領域で、リスク化と二極化が進展
– 職場、家族、教育の各分野で
• ⇒人々の心理や意識にも大きな影響
– 運に頼る
– やる気をそぎ、希望格差をもつにいたる

• 1995 年ごろからの社会的不安定化の中での若者の意識の変容


現代の若者の意識
• 二つの点で、従来と異なる。
– 現在も不安定だが、「将来も不安定」。
– 経済成長社会から「ゼロ成長社会」へ。

• 生き生きと生活できる社会・経済条件とは?
– 不安を生じさせる社会・経済条件とは?

– 現在の若者が晒されている状況と意識の関係とは?


希望とは?
• 「日本には何でもあるけど、希望だけがない」( 村上龍)
– 先進国共通の現象

– 努力が報われる見通し⇒希望
– 努力してもしなくても同じ⇒絶望
• 希望とは、心が未来に向かい、現在の行動とつながっているときに生じる感情


希望の歴史
• 前近代社会における宗教の機能
• 宗教改革による希望観の転換
– 現世と来世との予定調和説
• 近代における来世の消滅⇒希望の「現世」化
– 現世でむくわれる⇒希望
• 資本主義下での希望
• 革命思想による希望
• 「来世」の復活?


戦後から高度成長期までの希望
• 敗戦後
– 豊かな家族生活を築くという希望

• 職業を通じて(男性)
• 家事労働を通じて(女性)
• 教育を通じて(子供)

• バブル期直前までは希望に満ち溢れた社会


希望の消滅?
• 努力が報われない機会の増大
– リスク化の進展(「努力しても無駄になる」)
• 能力ある者のやる気を引き出すかもしれないが、能力が平均的な者のやる気を削ぐ(インセンティブ・ディバイド)
– 二極化の進展(「親に恵まれない」)

– 希望を持てる人と持てない人との格差の拡大



1998 年問題
• 実質GDP がマイナス1%
• 橋本内閣から小渕内閣へ
• 社会構造の「質的」転換の年
• 自殺者数の増大(中高年男性)
• リストラの進行(解雇、退職勧奨)
– ⇒二極化
• 中小零細企業の倒産

⇒「努力が報われない社会」(希望の二極化)


希望の二極化
• フリーターの増加
• できちゃった婚の増加
• 児童虐待の増加
• 不登校の増加
• 性感染症の増加
• 青少年の凶悪犯罪の増加
• 勉強する子としない子に二極化


希望からの逃避
• アディクションへの依存
– お金がかかる
• 新々宗教~来世での救済、テロ
• 自暴自棄型の犯罪
• 嫉妬の変貌(ジェラシー型からエンビー型へ)
– 妬み、恨み、不幸への道連れ
• 非社会的行動(「現実からの撤退」)
– 自殺、不登校、引きこもり(神経症型、脱落型)

リスクからの逃走
• 「苦労に耐える力」の衰退
– 希望なき社会の結果
• 苦労免疫の消失
– 小さな苦労と免疫
– 苦労を取り除く社会(免疫がつかない)
– いきなり苦労に晒される若者
• 強制と苦労の契機の消失
– 苦労からの逃走


パラサイトシングルとフリーター
• 家賃なし、家事なし、収入は自分の小遣い
– 結婚の苦労や生活リスクからの逃走

• フリーター
– 苦労するというリスクからの逃走

• 苦労する結婚生活、苦労する一人暮らし、苦労が多い仕事からの逃走
夢見るパラサイトシングル
• 結婚の夢、将来の夢、実現しない夢
– 夢を見続ける

• 自己実現の罠
– 妥協することは夢を捨てること
– 捨てられない夢、受け入れられない現実
• 職、結婚 、、、 今までの苦労


夢を支える親
• 子供と一緒に夢を見る親

• 夢見る若者の不良債権化

• 「理想的な結婚相手」「理想的な仕事」がみつかるまで現状を放置⇒いつかは破綻

• 夢から覚める日
  ⇒リスクはさらに深刻化している


日本のお荷物
• 年金掛け金の未納者
• 貧困層の大量発生
• 莫大な社会福祉費用


処方箋はあるのか?


社会改革の必要
• ネオ・リベラリズムの立場
– 自己責任、規制緩和、自由の拡大、個人主義の確立

• それに対抗する立場
– 安心社会の復活、企業責任の強調、前近代社会への回帰、地域や家父長的家族の復活、大きな政府

• 「自己責任強調」と「回顧主義」の危険

• 自由化論者の主張
• 自由化は失敗者も生み出す

• 自己責任の強調=希望の剥奪
– 経済的セーフティーネットと心理的セーフティーネット


統制は停滞を生む
• 後戻りは実現できない
• 高度成長期と同じ条件は存在しない

• 安心社会を目指し規制を強化すれば、やる気のある企業や人は海外に流出する


個人的対処の限界
• 個人の生活防衛、リスク対処
– ハウツー本、ノウハウ本
• 「個人にもっと能力や魅力をつけることで乗り切る」
• 「生活に対する考え方を変化させることで乗り切る」
• 「既存の制度にしがみつけ」
– 会社をやめるな、とにかく正社員になれ、など、オールドエコノミーへのしがみつきをアドバイス
⇒先行きは怪しい



努力の限界
• 「頭を使え、努力しろ」
– 就職予備校、結婚指南書、婚活サポート、私立学校人気の高まり

• リスク化、二極化への個人的対処
– さらなる金と努力⇒限界がある
– 報われる保証もない



考え方の転換
• 「生活に対する考え方を変えよう」
– 年収300 万円時代を生き抜く
– 分相応の生活
– スローライフ、ローカルライフ
• よほどの自信家でなければ無理なのでは?
• 勝ち組のもうひとつのライフスタイルにすぎないのでは?


公共的取り組みの再建
• リスク化、二極化は放置できない、だが、安心社会にも戻れない

• 個人的対処への公共的支援
– 耐えうる個人の創造
– 過大な期待のクールダウン
– コミュニケーション能力の向上
– 家族リスクに対応した社会保障制度


求められる総合性とスピード
• 対策の統合化、総合化
• スピードが大事
• 若者「逆年金」制度の構想


レポート課題(その1)
• 山田昌弘『 希望格差社会』 を読んで

• 提出日 11 月4 日( 火)  3限 授業時
– (遅れて提出の場合には、 11/ 11の 授業時まで受け付ける。その際の評点は80%とする。それ以降の提出は受け付けない。)

• レポートの提出様式に従うこと。
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